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全国漁村聞き取り調査
宇田道隆先生は昭和2年に東京帝国大學理学部物理学科を卒業され、当時の農林省水産講習所に就職しました。 当初、「ブリ漁と低気圧の関係」および「潮目の物理と漁の関係」の研究を進める中で、宇田先生は漁業者の実体験による知識に興味を持つようになり、昭和2年の暮れに西伊豆海岸で漁老の話を聞いたのが大変参考になったこと、そしてこの最初の聞き取り調査の大成功がきっかけとなり、その後の漁村における聞き取り調査の継続につながったことが、最後の著書である「海と漁の伝承」の「はしがき」に記述されています。「漁民は海の状況や変化を体験によって本当に良く知っている。我々研究者の役割はそれらを科学的に検証・考察し、理由付けすることだ」との言は、宇田先生の口癖でした。 実際の漁村聞き取り調査の取り組みは、農林省水産試験場(昭和4~17年)、神戸海洋気象台・長崎海洋気象台(昭和17~24年)、東海区水産研究所(昭和24~26年)、東京水産大学(昭和26~43年)、東海大学海洋学部(昭和43~53年)、海中公園センター(昭和50~54年)と50余年にわたり、宇田先生は南は台湾・小笠原から、北は北海道・千島・樺太までを歴訪して、漁業者の体験談や伝承をノートに綿密に記録しました。 |
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昭和4年に創設された農林省水産試験場に転じ、海洋調査を担当することになった。 調査船蒼鷹丸に度々乗船して、相模湾、日本海、三陸沖などの海洋調査に従事する傍ら、機会あるごとに漁港・漁村を訪れ、船頭・漁民などから積極的に聞き取り調査を続けられた。 日夜生命を賭して漁業に携っている漁民は、仕事場である海を誰よりも良く観察し、漁の変化に敏感に対応している。それらは「言い伝え」として、或いは自身の体験から強く記憶に留められているものであろう。 宇田先生は、晩年病に伏せりながらも、この聞き取り調査の結果の原稿を作成整理され、没後1984年に高弟石野 誠先生の綿密な校訂により、「海と漁の伝承」として玉川大学出版部から発刊されました。その目次は次の通りである。 黒潮、親潮といった主な海流とその潮境、局部的な潮目、そこに集まる魚群について、長い間に体験され、言い伝えられて来た漁民の伝承に光を当て、科学的に因果関係を解きほぐそうと努力された。 なお、海洋漁場学実地調査と浅海養殖場聞取調査の様式が、教科書「海洋漁場学」(水産学全集16 恒星社厚生閣 1960年刊)の附録2に掲載されている。 第1篇 概説 第1章 黒潮など潮と漁の関係 1. 黒潮の源頭、2. 黒潮の異名・性状、3. 黒潮と内海への入り潮、4. 熊野灘沖黒潮と その異変蛇行と漁況の変動、5. 遠州灘沖―豆南七島近海―東北海区の黒潮と漁、6. 対 馬暖流・親潮・漁とその変動、7. 長期海気変動の記録、8. 磯焼、9. 時潮 第2章 気象・海況・漁との関係 1.水潮、2.しけ潮、3.風と潮・漁・潮波など、4.噴火・地震・津波・光り物と潮・ 漁、5.海洋前線(潮目・潮境)・二重潮と漁、6.水温変化、7.海の濁り、潮色、8.天象 と漁、9. 魚餌・魚群・餌床など、10. カツオ・マグロ産卵場実見11. 島礁・海峡・ 半島・岬・深みなどの地形と海況・漁 第2篇 海域・地域別伝承 南海区 沖縄県~和歌山県、東海区 三重県~千葉県、東北海区 茨城県~岩手県、西 海区 熊本県~福岡県、内海区 大分県~兵庫県、日本海区 山口県~青森県、北海区 北海道 |
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