瀬川文庫
目録
東京水産大学瀬川文庫目録 / 東京水産大学附属図書館編
東京 : 東京水産大学附属図書館 , 1965
124, 11, 3p ; 25cm
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「東京水産大学瀬川文庫目録」の文献とその後の寄贈文献の目録
改訂増補版は出版されていません。
瀬川文庫と瀬川宗吉博士
瀬川文庫は1963(昭和38)年6月故九州大学農学部教授瀬川宗吉博士の所蔵文献を東京水産大学創立七十周年記念会が
譲り受け、東京水産大学附属図書館に寄贈されたものである。
本文庫には、博士が在命中に内外研究者との文献交換により集められた別刷類多数が整理収蔵されている。
従って岡村文庫に収蔵されている文献以後のものが主である。
本文庫は、九州大学研究室で博士から直接指導を受けられ、現在、北海道大学名誉教授である吉田忠生博士により整理されたものを
収蔵したものである。なお、別刷は文庫として別置されているが、図書、雑誌は一般配架されている。
瀬川博士は、盛岡高等農林学校を卒業後、教員生活を経て北海道帝国大学に入学、故岡村金太郎博士の愛弟子で北海道帝国大学
理学部教授であった故山田幸男教授のもとで、海藻類中至難の群の一つであるサンゴモ科の分類を専攻して大学を卒業後、
伊豆下田にあった三井海洋生物学研究所に勤務された。同研究所では、伊豆海域の海藻類の実地観察と研究に勢力的に取り組まれて、
暖海産海藻について業績を上げられた。
1942(昭和17)年、発足したばかりの九州帝国大学農学部水産学第2講座に、水産植物学担当の助教授として赴任された。
以後、教育に尽力される傍ら、日本国内はもとより、周辺各地への採集活動を活発に続けられ、その健脚ぶりは学会でも有名であった。
恩師山田幸男博士によれば、瀬川博士の足跡は北は樺太から南は台湾、小笠原にまで及んでいるとのことである。
この間、主にサンゴモ科植物の研究発表を続けられたが、今日の水産業にとって係りの大きい、流れ藻の研究の先鞭もつけられた。
即ち、博士は、流れ藻の海藻学的研究に着手し、水産実験所のある津屋崎近海から始めて次第に範囲を広めていった。
これらの結果は、九州大学農学部学芸雑誌に「流れ藻の海藻学的研究」として9報にわたって報告された。この成果は流れ藻につく
ブリの幼魚の生態研究にも大きく貢献した。
また、博士は1956(昭和31)年に戦後初の原色海藻図鑑「原色日本海藻図鑑」(保育社)を刊行され、我国における海藻学発展と普及に
大きな功績を残された。図鑑作成に使用された海藻標本が九州大学に「海草類さく葉標本(瀬川標本)」として残されています。
瀬川博士は教授発令4日後の1960(昭和35)年11月4日、大阪で開かれていた日本藻類学会大会の席上で急逝された。
葬儀は九州大学農学部水産学科葬として盛大に営まれた。なお、岡村金太郎博士は瀬川博士の岳父に当たられる。
瀬川文庫収蔵冊数
文庫
別刷 2,124篇 (82冊)
一般配架
和書 177冊
洋書 30冊
和雑誌 13種 製本冊数 46冊