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古地図の魅力
「地図は汽車の時刻表と同じで、ちょっと古くなればもう役にたたぬと、すぐにも棄ててしまわれがちである。しかし何十年もたってみると、それが意外に有用な史料であることに気がつく。いわんや幾百年もの歳月を経たものは、何とも言えぬ魅力がただよって、見る人をそれからそれへとつながる幻想の世界に誘いこむ」と織田武雄は、著書『地図の歴史』の中で述べています。 越中島キャンパス図書館で所蔵している西洋の古地図も数百年の時を超えて、当時の人々の世界観や夢をうかがい知ることができます。 この度、西洋古地図に造詣が深い大津眞作甲南大学名誉教授に依頼してすべての古地図の解説を書いていただきました。 その中から年代順に3点ご紹介します。 NO.7の“Nova et accurata Japonia terra Esonis
ac insularum adjacentium : ex novisima detectione descriptio(蝦夷地および日本列島の新詳細地図)別書名:L'Isle de Iapon(日本島の地図)”(1658?)は、イエズス会宣教師たちの日本布教報告を資料として描かれたものと思われ、琵琶湖の北にMeacoつまり「都」=京都があり、Osackyが大阪、長崎もNangesakyと記されています。日本の海洋基地であった平戸島=I.Firandoも記され、地図上の地名から宣教師たちの布教活動が、想起されてくるようです。 NO.1“Carte d'Asie, dressee pour l'usage du roy(国王用に整えられたアジア全図)”では、 ネルチンスクという都市名(Nerezin ou Nipchou)がロシア語式の表記(Nerezin)と中国語式の表記(Nipchou)で記載されていることから時の清とロシアの国家間の国境線の鬩(せめ)ぎあいと交流を窺い知ることができ、モルッカ諸島が詳細に記載されているのは、17世紀にオランダ人がここに香料を求めて進出しきた所産であり、またカスピ海とアゾフ海へ大河(現在のアムダリア河とスイルダリア河)が流れこんでいることがはっきりと記されていることから、当時のイギリスやロシアのインドに対する思惑が垣間見えてきます。 NO.2の“Carte de la Mer Pacifique du Nord(北方太平洋の地図 アジアの北東海岸とアメリカ北西海岸を含む。1778-79年にクック船長によって確認され、1788-89年にジョン・ミールズによってとくに詳しく知られた。)”の地図は、キャプテン・クック=ジェームス・クックが生涯命がけでおこなった三度の航海によって得た成果を直接、実感できます。 各地図は、<拡大画像を表示>をクリックすると、地名まで詳細に確認できます。下記のURLからお入りいただき、古地図の魅力をお楽しみください。 西洋古地図:http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/library/digital/seiyoukochizu/ |
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