羽原文庫(はばら ぶんこ)

目録
羽原文庫資料目録
東京 : 東京水産大学附属図書館 , 1977
103 p ; 26 cm

羽 原文庫資料目録 改訂・増補版
・項目によっては時間のかかるファイルもあります。
・改訂・増補版は刊行されていません。

羽原文庫と羽原又吉(はばら、ゆうきち)博士
日本漁業経済史研究の開拓者の一人、羽原博士の所蔵資料のうち、水産関係文献を収蔵した文庫である。漁業制度資料目録 第8集
全国篇 V 羽原水産文庫目録(日本常民文化研究所 , 1953)のはしがきに、「羽原博士蔵書は、「寒魔堂文庫」と雅称されているが、
この目録におさめられたものはそのうち水産関係に限られている。」とある。羽原水産文庫は、仮目録(はしがきによる)のため、全ての資料が
比較できないが、8割ぐらいは本学の羽原文庫に収蔵されているようだ。また、「寒魔堂」とあるが、他の文献には、「寒魔洞」と号したと
記されている。カント、マルクス、ダーウィンの意である。
大久保利謙(1996)によれば、羽原博士は東京帝国大学経済学部の研究室に通い、土屋喬雄博士の指導を受けた。従って、羽原博士の
経済史学の方法論は、土屋博士の影響を受け、ドイツ新歴史学派の流れをくむものとして、理論と史料考証とを統一した実証的研究を
目指したと考えられる。それだけに各種史料の蒐集には精根を傾けられた。羽原博士(1955)によれば、水産講習所時代の夏と冬の
休暇(少なくとも一ヶ月)には全国の津々浦々を旅行して史料蒐集にホントに全力を挙げて努力しなければならなかった。
また、当然古書店巡りもした。羽原博士の蒐集された史料は3200点以上あり、筆写史料も数多くある。
文庫の特徴としては、江戸時代の漁業に関する原史料は豊富であり、近世の日本漁業史研究に当たっては必見のものが多い。
また、明治、大正時代における漁業・漁村に関する出版物で、ほとんど入手不可能なものも数多く収められている。
例えば、「山形縣漁業志 / 藤山豊編纂主任」であるが、極めて小部数作成されたと思われる。
また、筆写史料では、第二次世界大戦後の混乱のため、原史料が所在不明となっている例がある。
「串本町史 史料編(昭和63年発行)」(p.1090-1091参照)に収録されている大島村役場関係文書は現在行方不明とのことであり、
羽原文庫所蔵筆写文書により、翻刻された。
羽原文庫は、祭魚洞文庫に次いで、水産経済学に関する最も価値の高いコレクションである。
1909(明治42)年、羽原博士は、大学を卒業して水産講習所の嘱託となった。この頃,水産に関する社会科学的方面は、
農林業等の第一次産業に比較して甚だ貧弱であったので、この方面をやろうと決心された。
その後、約7年間、北海道水産試験場に在籍して、水産について身をもって体験することができた。
第二次世界大戦前、漁業経済史を研究したのは、羽原博士と渋沢敬三が主宰した日本常民文化研究所だけであった。
羽原博士も関係した日本常民文化研究所の関係者は、山口和雄、祝宮静、伊豆川浅吉、宮本常一、揖西光速、戸谷敏之、桜田勝徳、
竹内利美、宇野脩平等である。
1933(昭和8)年、漁業経済史に関する最初の労作「土佐の捕鯨網漁法」を「社会経済史学」誌上に発表した。この発表を契機として
堰を切ったように注目すべき業績を相次いで発表した。
1942(昭和17)年、慶應大学が日本最初の漁業経済史の講座を開設し、羽原博士が担当された。
服部一馬(1950)によれば、羽原博士の研究の対象となった地域を年次順に見ていくと、まず西日本ないし北陸の古くから漁業の開発
された地域がとりあげられ、後にはこれに加えて、その発展が時期的に遅れた東日本(特に関東)の漁業が扱われるに至っている。
このことは、我国漁業の発展を系統的、発展史的にとらえようとする意図を示していると考えられる。
また、「日本古代漁業経済史(改造社 , 1949)」、「日本漁業経済史(岩波 , 1952-1955)」、「日本近代漁業経済史(岩波 , 1957)」等の
著作により、地域の上で全国に渡り、多様な漁業種類を網羅し、時代の上では、古代から近代を蔽う雄大なスケールの研究が
羽原博士の驚嘆すべき努力を通じて示された。また、羽原博士の研究が提起した問題領域は、漁業技術、漁業制度ないし漁業権、生産機構、
漁村社会、漁民生活等のすべてにわたっている。「日本漁業経済史(岩波 , 1952-1955)」、「日本近代漁業経済史(岩波 , 1957)」等
は、羽原博士70歳以降の著作である。これらの業績に対し、1955(昭和30)年、第45回日本学士院賞を贈られた。


羽原又吉 (1955) 私の学究生活 思想 (373):845-853
服部一馬 (1950) 漁業経済史研究の動向 歴史学研究 (144):42-46
大久保利謙 (1996) 土屋喬雄さんそして羽原又吉さんのこと 日本近代史学事始め 岩波書店, 東京:92-95


羽原文庫収蔵冊数

和図書 1,494 冊
洋図書 13 冊
和雑誌 76 種 製本冊数  145 冊
別刷 220 篇 製本冊数    10 冊
和本(含写本等14冊) 119 冊
原文書(含写本57冊) 494 冊
筆写資料 650 冊
図書等からの筆写資料
247 冊
絵図・図版(含写本76冊) 117 冊
その他 5 冊
総冊数 3,294 冊