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       海洋大図書館メールマガジン No.42    2007. Sep. 19
         
              東京海洋大学附属図書館 品川キャンパス版
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【目次】
  ♪ 図書館のお宝紹介(常設展示) 第1回
  ♪  心の海に漕ぎ出そう−海洋大生に薦める私からの1冊 −(松山先生)
   ♪ アメリカ物理学会会議録オンライン版が11/10まで。
  ♪ 新着図書ピックアップ 「磯焼け対策ガイドライン」
 
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 ☆★☆図書館のお宝紹介(常設展示) 第1回
    −水産を学問にした松原新之助−
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 松原新之助をご存知ですか?海洋大の前の水産大のそのまた前の
 水産講習所の初代所長をした方です。

 松原新之助は松江藩士の家に生まれ、今の東大医学部に入りましたが
 そこで、博物学に出会います。

 後に内務省に入り、ベルリン万国水産博覧会で日本の魚や漁業について
 紹介して欧米の水産学や生物学に触れるうち、日本でも水産を学術的に
 調査研究する必要を強く感じ、自分の一生の仕事は水産だと考えるように
 なりました。

 彼が残した書物を見ると明治時代に既に水産資源保護を主張したり
 新潟阿賀野川の鉱毒を予見するなど時代を見通す先見性に驚かされます。

 また、彼が心ならずも水産講習所長を辞任するときに教え子たちから
 銅像を建設して母校に残したいという声があがり、その話を伝え聞いた
 全国の人々から予定額の2倍もの寄付が集まったというのもその人柄を
 しのばせるエピソードです。中部講堂の前に今もあるのがこの銅像です。

 現在、図書館2階で松原新之助に関する貴重な資料を展示しています。

 見どころのひとつは「高の島実験場日誌」です。これは館山にかつてあった
 実験場の日誌ですが、大学ノートに手書きで書かれた大変貴重なものです。
 このノートは当時水産講習所教授だった妹尾秀實が購入し、最初の
 ページには彼が実験場開所式の様子を書いています。

 また、書物ばかりでなく松原新之助が妹尾秀實に書いた「水産者終生努」
 という書も先年、妹尾家より譲り受け新たに額装して展示しました。
 水産に生涯をかけた彼の思いを示すこの自筆の書は妹尾秀實にとって
 大切なものであったと同じく本学にとっても大変貴重な資料です。

 展示資料のほとんどは、普段見ることができない貴重図書ですので
 是非この機会にご覧ください。

 展示期間:2007年12月22日(土)まで。
      時間は図書館開館時間中。詳細はコチラ↓
      http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/library/calendar2007s.html#9
        
 展示場所:品川キャンパス図書館2階
 
 
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 ☆★☆心の海に漕ぎ出そう
     −海洋大生に薦める私からの1冊− (松山先生)
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 今回は海洋科学部長の松山優治先生の”私からの1冊”です。

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 「落日燃ゆ」 城山三郎著 新潮社, 2002.
    請求記号:913.6/S 22

 推薦コメント:

 昭和史を詳しく知ることが将来の日本を考える上で極めて重要であると
 私は考えている。マスコミを通して流される憲法や集団的自衛権などの
  議論や討論を聞いていると内容が薄っぺらで、事実をどこまで把握し、
  分析し、発言しているのかと疑問を持たざるを得ない。
 
 「落日燃ゆ」は「東京裁判」で、民間人でただ一人、A級戦犯として
  「絞首刑」に処せられた広田弘毅を主人公として書かれた、城山三郎氏の
  代表作である。

 広田は外交官として歩み、そののち外相や総理という要職に就く。その間、
 外交問題を話し合いで解決しようとする姿勢を貫いた故、当時の陸軍との
 葛藤は凄まじかった。しかし、最後には陸軍の起こした戦争の責任をとって
 処刑された。
 
 赤松大麓氏によれば、昭和史の人々を題材にした書の中で「資料の収集、
 綿密な調査と取材、問題意識の鋭さ、記述方法の工夫」などにおいて本書は
 図抜けたものであるという。

 広田を主人公にした伝記であるが、著者は感情を抑え、できるだけ客観的に
 書いている。歴史書を読むより、時代背景が鮮明に分かり、当時の日本と
 東アジア諸国、日本と欧米の関係を知ることができると同時に、広田の人柄が
 資料だけでも十分偲ばれるという優れた書である。

 陸軍が大きな力を持つと、平和的な解決を目指す政府の施策を、庶民に
 見えないところで、ことごとく潰していく様には恐ろしさを感じる。
 「背広を着た首相」が組閣を進める過程で、陸軍は気に入らぬ人事に反対し、
  人事案件を潰していく。反対者を外すことで、仲間だけの政権となり、
  次第に戦争へと進んでいく姿が容易に分かる。

 最近、総理の靖国神社参拝が中国・韓国から強く非難され国際問題になった。
 戦争犯罪人として処刑されたA級戦犯が合祀されている神社に、総理が
 参拝することは大きな問題である。もちろん、靖国問題はそれだけではないが。

 広田弘毅の遺族だけは靖国神社に合祀されたことを遺憾に思っていると
 マスコミで報じられているが、弘毅の意志が遺族に受け継がれていることが
 本書の流れのなかで読み取れる。

 文庫本だが非常に重厚な書である。ゆっくりと時間をかけて読む書である。
 時代を考えながら、自分の理解している歴史と頭の中で照合しながら読むと
 理解が深まる。

 現行憲法は押し付け憲法であり、自分たちで憲法を作ろうという前に、
 本書を読んで、現行憲法が作られる必然性とその内容を理解する姿勢が
 欲しい。古くて現在に合わない憲法だというなら、その部分をはっきり
 させて、その議論を始めるべきだと私は思う。現行憲法は決して古いと
 思わないし、優れた憲法であると本書を読んで改めて私は感じた。
 
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 吉川英治文学賞、毎日出版文化賞を受賞している定評ある本です。
 読み始めてみませんか?
 

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 ☆★☆アメリカ物理学会会議録オンライン版が11/10まで。
  ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 
 雑誌に未掲載の最新研究にいち早くアクセスできます。
 2000年以降のアメリカ物理学会会議録オンライン版が利用できます。 

 トライアル期間:2007年11月10日まで。

 アクセスはコチラ→  http://proceedings.aip.org


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 ☆★☆新着図書ピックアップ
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 ◎◎◎ 磯焼け対策ガイドライン 
 全国漁港漁場協会, 2007 請求記号:666/I85

  水産庁が作成した「磯焼け」のメカニズムや対策に関する資料。
 磯焼け問題に関する定義や事例、語句や法律関係まで非常に
 系統的に書かれている。

  学部生から研究者まで磯焼けに関心を持つすべての
 方にとって必読の本。
 
 本書は、国内大学図書館で所蔵しているのは現在のところ
 本学のみです。大切に読みましょう。                  
                  
                            (図書館職員I)
  
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